「世の中や市場に変化がなければビジネスは成り立たない。時代や環境の変化があるからビジネスのチャンスが広がる。」といわれています。

■仮説を立てないビジネスはない

そして、物事にあたるとき、必ずや仮説を立てることでしょう。
ビジネスの現場では、実態と仮説を対比させながら仮説に近づけようと工夫したり、仮説を微調整しながら舵取りをされていることと思います。
この実態と仮説の対比に、データを活用した分析のステップを加えることができるのなら、意思決定のパフォーマンス改善に役立つのではないでしょうか。
この意思決定は、経営者がおこなう意思決定のことだけではありません。
日々の業務の中での業務上の意思決定、管理上の意思決定も、当然、存在しているのです。
生産工程や、販売・顧客などのデータを収集・分析し、その分析の結果を様々な意思決定に利用されていることと思います。
グーグルやアマゾンなどの企業は膨大なデータ量を扱うようになり、その他の企業においても、ビッグデータを分析して新たな製品やサービをつくり出そうとする取り組まれています。
しかし、これからお話させていただきたいのはビッグデータではありません。
組織強化を図るために有効なスモールデータの活用ついてお話させていただきます。

■データを活かしている状態

データを活かすとはどういう状態を指すのでしょうか。
コンビニエンスストアを例に見ていきましょう。
例えば、コンビニエンスストアでは在庫が無くなった時点に本部へ在庫切れの連絡をします。
本部は、連絡を受けた店舗に在庫が無いことを知った結果、過剰在庫を抱える店舗から在庫を補充することを指図したり、メーカーに発注したりすることになります。
コンビニの実際のオペレーションは、このような方法でしょうか。
コンビニエンスストアの商品の発注量を決定しているのは、コンビニ店舗の商品担当です。

  • コンビニ店舗の商品担当が発注量を決定します。
  • 新しい商品を取り扱うかどうかもコンビニ店舗の裁量です。
  • 地域の運動会やお祭りなどのイベントや天候などを考え、商品ごとの発注数を決めています。
  • 要するに明日の需要数量を感と経験、そして本部からのデータに基づき決定しているのです。

 このような結果、コンビニエンスストアの本部は明日の需要を把握でき、それに基づきメーカーに発注します。
前者と後者の違いを決定づけているのは、店舗での業務ルールです。

  • 前者は、店舗が在庫の無くなったことを確認し、本部に報告する。
  • 後者は、店舗が需要を見込んだ購買依頼数を決めて、本部に報告する。

前者と後者の違いは、店舗における意思決定の違いです。

■業務の中に意思決定を取り入れる

データを活用している企業は業務の中に意思決定のためのプロセスを取り入れているように見えます。
具体的には

  • 業務上の意思決定を適切な人材がおこなっている。
  • その意思決定者に透明性の高い情報を提供している。
  • 意思決定者が情報活用法を学べるようにしている。
  • 意思決定者の情報活用法に期待している。

を業務の仕組みの中に取り入れているように見えます。
 この例のように、小さなデータから大きな価値を生み出すこともできるのです。

■データを活用できている企業の共通点

データを活用できている企業には共通点があるということが、これまでの研究からわかっているそうです。
それは、その組織のあらゆる意思決定者が毎日、業績データをすぐに利用できる状態にあるということです。
そのような企業は、

  • 業務データについて一つの明白な情報源を確立している。
  • 全階層の意思決定者に、ほぼリアルタイムに業務結果としての業績データを知らせている。
  • 意思決定者が担当している業務に適切な業績データを知らせている。
  • 意識的に業務ルールを明示し、事実を踏まえて定期的に更新している。
  • 日常的に意思決定をおこなう従業員に対して質の高い教育をおこなっている。

ということです。
データ活用を、全社的な取り組みとして考えることも必要です。
しかし、むしろ、部門や部署などの機能単位で取り組んだほうが、データの利用法を思い切って改善しやすいのです。

■手軽に利用可能なデータ活用の仕組み

今の時代、企業内に在るデータを活かすためのシステムは手軽に利用できるものがあふれています。
端末は、パソコン、タブレット、スマホのいずれかがあれば十分です。
データを見たり、発信したりする仕組みは、Yahoo boxやONE Drive、Office365 など無料あるいは月額数百円で利用できます。
コミュニケーションだって、FaceBookやLINEでおこなえます。
「アイディア」や「やりたいという思い」を実現する手段は既にあるのです。
実態と仮説の対比にデータを活用した分析のステップを加えることが、ビジネスの前進に役立つのではないでしょうか。
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株式会社アイ・ケイ・シー 代表取締役 石井 和人